2025.07.01「おいしい」「安全」「安心」な牛乳のために。牛乳ができるまでを聞いてみました!【茅野工場 製造一課長インタビュー】

こんにちは!やつみです。

「牛乳のプロに聞く!」シリーズということで、今日は製造の現場で活躍する、八ヶ岳乳業茅野工場製造一課、課長の伊藤和広さんに、八ヶ岳牛乳ができるまでの「製造ライン」のお話を聞きました。

やつみ:伊藤さんはどんなお仕事をしているんですか?

伊藤さん:酪農家さんから集められた牛乳が工場に届いてから、製品として出荷されるまでの飲料ラインで、「安全」「安心」「おいしさ」の管理を担当しています。

牛乳をビンや紙パックに充填(じゅうてん)し、出荷するまでほぼ機械の仕事なんですが、八ヶ岳乳業の飲料ラインとしては、ビン1台、紙パック2台(1000ml・500mlと200ml・180ml)の機械があります。1台の機械の中で、牛乳・乳飲料(低脂肪やコーヒー)を製造しています。

お客様においしくて安全・安心な商品をお届けするために、どの機械にもしっかり働いてもらえるよう日々のメンテナンスが欠かせません。私はほぼ一年中、牛乳の製造ラインのことを心配しています(笑)。


大切な機械の一部(牛乳などの流れ先を決めている「オートバルブ」)


やつみ:工場内はすごく機械化されているんですよね!動画見ました!

伊藤さん:9年前に新しく導入した一台の機械は、当時日本にはまだ何台もないアメリカ製のものだったんです。1台1億円以上するので導入も慎重でした。私は実物の機械を見るために、兵庫県姫路市まで出かけて行きましたよ。

実際に導入してからは小さなトラブルもありましたが、ひとつひとつ解決しながら改造を重ね、ここ数年、安定して製造ができています。

問題が起きて一度機械が止まってしまうと、検査したり修理したりで半日くらい動かせないので、牛乳が製品にならずに取引先様へ出荷できなくて大変なことになってしまうんですよ。だから、細かく部品を管理したり、同じ機械を使っている他県の工場の方と情報交換したり、トラブルを防ぐために常に気を付けています。

やつみ:牛乳は、どんな流れで製品になるのですか?

伊藤さん:まずは、到着したタンクローリーの生乳受入検査から始まります。酪農家さんから集められた生乳が工場に届いたら、脂肪分、菌数、体細胞などの検査をして、問題のない品質であることを確認します。


顕微鏡で細胞を観察するようす

そして、130度で2秒という超高温殺菌をしてから、機械を通してビンや紙パックといった容器に充填していきます。
食中毒を引き起こす微生物は自然界に普通にいるものなんですが、それが原因で起こるトラブルのリスクをなくすために、製造のどの工程でも「温度」と「清潔」を徹底管理しています。


殺菌した牛乳が入っているタンク

やつみ:工場のライン、今日はもう動いてないみたいですが?(取材時は午後3時ころでした)

伊藤さん:牛乳の充填は、朝3時に開始します。木曜日と金曜日は0時半から。1時間前に出社して準備をするので、23時や24時出勤の日もあります。

製造前にやることはたくさんあります。消毒用のアルコール噴霧、水漏れチェック、部品がしっかり付いているかチェックした後、機械全体の電源を入れ、そして機械本体の電源を入れ、重さをはかる機械や日付を印字する機械といった「付帯機器」の点検などをしてから、製造に入ります。


付帯機器の一つ「ウェイト・メタルチェッカー(重量確認・金属探知機)」

やつみ:わー、準備が大変なんですね!朝のはじまりが早いから、終わりも早いんですか?

伊藤さん:午後3時ごろに生産は終了します。その後、ラインごとに洗浄が始まります。自動で洗浄できない細かな箇所は「手洗い」で、ピンポイントにチェックをしながら念入りに洗浄します。毎日2人で2時間ほどかけて分解して、手で洗って、すすいで、拭き上げます。洗い残しがあると、ビンの場合はライン上での流れ方が違ったりするので、ていねいに。

それから牛乳タンクの配管などもアルカリ洗剤を注入して洗浄します。紙パックの在庫を倉庫から出すなど翌日の生産準備も合わせると、毎日4~5時間を清掃・準備に費やしています。

やつみ:すごい「キレイ」を徹底してるんですね!ところで、やつみも大好きなビン牛乳がレアになりつつあるって聞いたんですけど・・・?

伊藤さん:実は、ビン牛乳のフードをつける機械を製造する会社や、紙の栓を作る会社が少なくなっていて、ビン牛乳は減少傾向にあります。大手の牛乳メーカーは続々とビン牛乳の製造をやめてますよね。でも長野県内の学校給食では、まだ8割がビン牛乳です。

八ヶ岳エリアの温泉地でもビン牛乳は人気で、自動販売機がいくつもあります。あと、登山者にも、ビン牛乳は人気なんですよね。

ニーズがある限り、みなさんに「おいしい」と言ってもらえる限り、ビン牛乳もつくり続けていこうというのが会社の方針です。だから機械も、より一層大切に使っていかないといけません。


ビンに牛乳を充填する機械はなんと50歳!

やつみ:ビン牛乳と紙パックの牛乳に、おいしさの違いはあるんですか?

伊藤さん:入れる牛乳はもちろん同じなんですけど、断熱性も密閉性も、どうしてもビンの方が高いですね。

紙パックはポリエチレンという樹脂を薄くコーティングして漏れないようにしていますが、紙自体がにおいを吸収しやすいので、冷蔵庫内の強いにおいが移ってしまうことがあります。

ビン牛乳は開けたら一度に飲んじゃいますよね。紙パックの牛乳は、特に大きいものは一度開けても飲みきらずに冷蔵庫に戻すでしょう。それで、風味に違いが出やすいんです。


やつみ:なるほど。やつみも、さすがに1リットルは一度に飲みきれないです~。紙パックの牛乳は、どのように製造されているんですか?

伊藤さん:紙パックは、平べったくなっている紙容器を機械で広げて立体にしながら底に折り目を付け、熱をかけてプレス。包材表面のポリエチレン(※)を溶かして「のり」にすることで密閉性を高めます。

天面が開いた紙パックに、「ミックス」と呼んでいる中身の牛乳をノズルで充填。トップをガチャンと折り込んで、ここもまた熱でプレスして閉じます。
※食品衛生法で決められている素材を使用


紙パックの底について楽しそうに説明する伊藤さん

充填前には、その日の密閉性をチェックするため1日2回4本ずつ、わざと染色液を入れて、外部に漏れていないかチェックします。
とはいえ、どうしてもビンより密閉性に劣る紙パックの牛乳は、賞味期限にかかわらず、封を開けたらできれば2日以内には飲みきってほしいです。


まさに紙パックに牛乳を充填するところ

やつみ:今後、伊藤さんが目指すものはありますか?

伊藤さん:機械の整備は誰にもできるわけじゃないですが、これからの時代にそんなことを言っていられません。もっとIT化できるところは積極的に導入したり、マニュアルを動画化したり、社員の作業負担を減らすなどで、若い人、多様な人でも仕事をしやすい環境を整備していかなきゃいけないと思っています。

小さな会社ですが、昨年創業70年を迎えました。みなさんに「おいしい」「安全」「安心」な牛乳を「当たり前に」お届けするために、これからも全力で牛乳の製造に向き合っていきます。


生乳受け入れタンクの前で。左からマーケティング企画課 南澤さん、茅野工場製造一課 伊藤さん、マーケティング企画課 柳澤さん

やつみ:伊藤さんの八ヶ岳牛乳への誇りと愛を、ぎゅうぎゅう感じました!
今日はありがとうございました!

 

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