2026.02.20「品質」を「保証する」ための、厳しいルールと検査と意識。【品質保証部課長インタビュー】
こんにちは!やつみです。

「牛乳のプロに聞く!」シリーズということで、今回は「品質保証部」の課長・水木智さんに、おいしさを支える秘密と、安全を守るための取り組みについてお聞きしました!

やつみ:水木さんのお仕事内容をおしえてください!
水木さん:八ヶ岳乳業の製品をお客様に安心して召し上がっていただけるように、製品の安全性について情報を集め、保証することが仕事です。わかりやすいところでは、製品の「出荷検査」を担当しています。出荷される前の製品を一部抜き取って、外観、官能評価、比重検査、理化学成分、乳酸酸度、一般生菌数などさまざまな検査を実施します(サンプリングといいます)。すべての検査の基準をクリアしたことが確認できてはじめて、その製品の出荷を許可します。

無菌空間(クリーンベンチ)での検査

やつみ:とても重要なお仕事ですね!「出荷を許可」しない時もあるんですか?
水木さん:最近はめったにありませんが、もしも検査で異常が発見された場合には、出荷を止め、ときにはせっかく造った製品を廃棄処分するよう指示することもあります。もったいないですが、お客様に安全な製品をお届けするには、厳しく対処しなければなりません。
やつみ:廃棄することもあるんですか!厳しい!!
水木さん:そんなことが発生しないよう、工場内のトラブルの状況には日ごろから目を光らせています。また、異常を発生させないためにはどうしたらいいか、商品に関わるすべての部署、従業員に働きかけ、衛生的なルールを徹底するなどの従業員教育も、私たちの仕事です。

やつみ:各製造工程のルールには、どんなものがあるんですか?
水木さん:製造工程では、それぞれの担当者が検査や品質チェックをするのですが、その項目やチェック結果の精査は、品質保証部が監修しています。
牧場でしぼられ、タンクローリーで工場に運ばれてきた生乳は、受け入れ時に温度検査、官能検査、成分検査、細菌検査などを行い、合格した生乳だけを工場に受け入れます。
生産ラインでは、各装置の動作状態と製品の品質を監視しながら生産していますが、少しでも異常を発見したらすぐにラインを停止して不具合を調整します。生産を開始した時や使っているタンクを切り替えた時などは、そこにリスクが潜んでいるので、ラインから品質管理用の製品をサンプルとして採取し、品質保証部で各種検査をします。

品質保証部の冷蔵庫には、品質管理用のサンプルがたくさん。
やつみ:みんなの努力に加えて、チェックが必要なんですね!
水木さん:牛乳は栄養が豊富に含まれているため、雑菌がいるとすぐに増殖し、腐敗してしまいます。雑菌は「つけない、増やさない、やっつける」ことが基本。菌が増えないようにするにはまず、工場で使っている装置を決められたプログラム通りに洗浄殺菌して衛生的に保つ必要があります。
その衛生状態を定期的に調査するのが「工程検査」です。装置の殺菌性能を確認するための「ミックス抜き取り検査」、室内の空気がどれだけきれいな状態かを確認する「環境検査」、わざと劣化させた状態の品質を調べる「強制劣化検査」、賞味期限まで商品がおいしく食べられるかを確認する「保存性検査」などを計画的に実施して、問題があれば考えられる原因を製造現場に伝えて対策する活動をしています。

さまざまな装置を使い、検査を実施しています。
やつみ:いっぱい検査があるんですね!
水木さん:そうですね。お客様においしくて安全で安心なものをお届けしなければいけませんからね。
工場では日常的に「5S基準」というルールを定めて行動しています(当社では、整理・整頓・清掃・清潔・習慣です)。月に一度「クロス点検」として、各部署のリーダーがほかの部署の状況を検査する取り組みをしています。ふだん自分たちだけでは気づきにくい部分も、違う目から見てチェックできます。結果は各部署の代表者でつくる「食品安全委員会」で報告し、問題があれば原因をとことん追求し、対策をします。

やつみ:他に、どんな取り組みがありますか?
水木さん:牛乳は、工業製品ではなく「農産物」です。季節や産地、牛の食べるものや牛の状態によって味や品質、風味などが日々違うんです。1年を通じてどのくらい違いがあるのか把握し、その日の品質が許容範囲にあるかどうか慎重に判断するのが「官能検査」なのですが、その精度を高めるために、「官能評価員認定試験」を年に一度、工場の従業員全員に実施しています。
やつみ:全員に、、、ですか??
水木さん:はい。少しの風味の変化や違いにも、多くの人が気づけるほうがいいので。合格者には認定証を授与しています。年に一回の更新制で現在、工場で働く60人のうち、40人が「合格」しています。

やつみ:合格率が高いですね!
水木さん:そのために、トレーニングの機会を設けています。「訓練週間」に官能訓練室に来てもらい、数種類のサンプルを口に含んで、甘み、苦み、酸味、旨味など、ほんのちょっとの違いを当てるものです。筋肉と同じで、味覚も、鍛え続ければ力が付くんですよ(笑)。
さらに専門教育を受ければ、牛乳の風味を「ことば」で評価できるようにもなります。たとえば、「牧草のかおり・・・」とか、「脂肪のうまみが強い・・・」とか。

官能評価専用の訓練室
やつみ:まるでソムリエのようで、すごいですね!
水木さん:最後の砦(とりで)である出荷検査では、測定数値でのチェックだけでなく、官能評価員の認定を受けたスタッフが必ず複数名で味を評価し、正常の範囲かどうか確認しています。
ほかにも「手洗い教育」の取り組みがあります。衛生は、従業員一人一人の意識が重要ですが、なかでも「手洗い」は基本中の基本。当部署に来てもらい、洗面台でタイマーをセットして30秒間手洗いをしてもらいます。その後、手をハンドスタンプシャーレにつけて雑菌を検査し、雑菌増殖の様子を写真に撮ってフィードバックします。この取り組みは注意喚起と衛生意識の向上に大きく寄与しています。

正しい手洗い方法を見ながら、手洗い検査にトライ!

やつみ:わー!結果はこわいけど、自分の現状を知れば、改善につながりますよね!
水木さん:あらゆる事柄に対して、昨日より今日、レベルアップすることが大事だと思っています。他の部署からは嫌われているかもしれませんけどね(笑)。
現在、工場では「HACCPに基づく衛生管理」だけでなく、「FSSC22000」と呼ばれる世界水準の食品安全マネジメントシステムを運用しています。工場だけに限らず営業部や物流部、経営管理部などに対しても、食品安全と品質を向上するための活動を推進しています。
さらに昨年度からSDGsへの取り組みとして、一部製品の賞味期限を延長しました。

やつみ:「賞味期限の延長」が、SDGsの取り組みになるんですか?
水木さん:賞味期限が長くなるということは、製品の寿命が延びるということですから、フードロスという社会課題の解決に貢献します。お客さまにも市場にもメリットがありますよね。
しかし一方では、品質を保証する期間が長くなるため、会社として大きなリスクを抱えることになります。私たちは数年をかけて、これまでお話したような地道な取り組みを続け、工場全体の品質レベルを大きく引き上げることができました。そうして、賞味期限の延長を実現することができたのです。これは品質保証部だけではなく、工場の方々のたゆみない努力の結果によるもので、今後も協力し合いながら維持する必要があると考えています。

やつみ:「賞味期限の延長」って、すごいことなんですね!!
水木さん:おいしさも安全性も、1人の努力では維持できません。八ヶ岳乳業の製品に関わるすべての人たちが一丸となって、これからも製品の安全と品質を真摯に考え、努力し続けていきたいと思います。
やつみ:八ヶ岳乳業の安心・安全な品質への「本気」がよくわかりました!水木さん、ありがとうございました!!
